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空き家に害獣が入りやすくなる主な理由は、人が住んでいないことそのものではなく、建物の破損や動物の痕跡を発見するまでに時間がかかるためです。
しばらく使っていない実家、相続した戸建て、売却前の住宅、入居者が決まっていない賃貸物件などでは、普段の生活音や人の出入りがありません。軒天や戸袋に小さな穴ができても、すぐには気づけないことがあります。
庭木が伸びたままになり、落ちた果実やゴミが残っていれば、ハクビシンやアライグマを建物へ近づける原因になります。室内に段ボール、新聞紙、布団、古着などが残されている場合は、ネズミの巣材や隠れ場所として使われることもあります。
つまり、空き家の害獣対策で重要なのは、動物を見つけてから追い払うことではありません。定期的に建物を確認し、侵入した形跡と建物の傷みを早い段階で見つけることが被害拡大を防ぐポイントです。
この記事の要点
人が暮らしている住宅では、玄関の開閉、照明、掃除、洗濯、家電の運転などによって、日常的に音や振動が発生します。
空き家ではこうした刺激が少なくなるため、天井裏、床下、戸袋、物置などが動物の休息場所として使われても、すぐには気づけません。
所有者より先に近隣住民が異変に気づくこともあります。
「夜になると屋根の上で音がする」「軒下から動物が出てきた」と連絡を受け、現地を確認して初めて被害が分かるケースです。
台風、大雨、強風、地震、経年劣化などによって建物が傷んでも、空き家では発見が遅れます。
特に確認しておきたいのは、次のような場所です。
見た目には小さな隙間でも、動物が繰り返し触れることで穴が広がることがあります。アライグマの場合は、侵入口周辺の板や部材を引きはがすこともあるため、破損が急に大きくなる場合があります。
ハクビシンやアライグマは木登りができます。
庭木の枝が屋根や雨どいに触れていると、枝を伝って建物へ近づきやすくなります。塀、物置、カーポート、室外機、積み上げた資材なども足場になるため注意が必要です。
空き家の敷地では、草木の繁茂だけでなく、落果や放置された生ゴミが動物を引き寄せる原因になることもあります。
押入れ、物置、倉庫、天井裏に物が多く残っていると、ネズミが身を隠しやすくなります。
特に巣材として使われやすいのは、次のようなものです。
段ボールや紙袋にかじり跡がある場合は、収納物の表面だけでなく、壁際や棚の裏側も確認してください。
人が住んでいる家なら、フン、尿臭、天井の染み、物音、食品の袋の破損などに早く気づけます。
空き家では、数週間から数か月にわたって見過ごされることもあります。
特にハクビシンやアライグマが天井裏に定着すると、同じ場所で排泄を繰り返し、天井板や断熱材まで汚れることがあります。天井に染みやたわみが出ている場合は、すでに被害が進んでいる可能性があります。
空き家では、動物そのものを直接見られるとは限りません。物音、フン、足跡、建物の破損などを組み合わせて、候補を絞っていきます。
| 確認項目 | ネズミ | ハクビシン | アライグマ |
|---|---|---|---|
| 物音 | 細かく走る音、カリカリとかじる音 | 天井裏を歩く比較的大きな音 | 重量感のある足音、部材を動かす音 |
| フン | 小さな黒いフンが点在する | 同じ場所にまとまることがある | 比較的大きく、大量に残ることがある |
| 足跡 | 小さく、壁際や粉じんの上に残る | 5本指で細長い形 | 人の手に似た5本指 |
| 建物被害 | 配線、袋、木材、断熱材のかじり跡 | 軒天や戸袋の隙間を利用する | 板や金網をめくり、穴を広げる場合がある |
| 室内のサイン | 黒ずみ、巣材、食品袋の破損 | 尿染み、獣臭、まとまったフン | 強い臭い、大量のフン尿、爪跡 |
ただし、物音やフンだけで種類を断定するのは危険です。
「ネズミらしい」「中型の動物がいる可能性がある」という段階でも、調査は依頼できます。無理に種類を決めるより、痕跡の写真と発生場所を整理しておく方が、正確な判断につながります。
家屋に入り込むネズミは、種類によって移動しやすい場所が異なります。
クマネズミは天井裏や高い場所、ドブネズミは床下や排水設備の周辺で見つかりやすい傾向があります。そのため、天井だけでなく、床下換気口や水回りも確認する必要があります。
ハクビシンは木登りが得意で、庭木、塀、物置などを利用して屋根へ移動します。体が通る隙間があれば、軒天や戸袋などから天井裏へ入ることがあります。
アライグマは力が強く、既存の隙間を利用するだけでなく、板や金網を動かして侵入口を広げることがあります。
以前は異常がなかった場所でも、軒天や床下換気口が壊されていないか確認してください。
空き家を確認するときは、いきなり天井裏へ入るのではなく、建物の外側から順番に調べます。
足元と頭上に注意しながら、地上から見える範囲を確認します。
古い空き家では、屋根材、庇、ベランダ、床が弱っている場合があります。屋根や高所へ自分で上がって確認するのは避けてください。
室内へ入るときは、マスク、手袋、長袖を着用し、可能であれば二人以上で確認します。
玄関を開けた直後は、次のような臭いがないか確認してください。
強い臭いがある場合は、すぐに奥まで入らず、換気できる状態か、床が安全かを確認します。
室内では、壁際、廊下、キッチン、収納、押入れの周辺を見ます。
フンや足跡を見つけたら、すぐに掃除するのではなく、最初に写真を撮ります。
場所が分かる引きの写真と、形や大きさが分かる近距離の写真を残しておくと、調査時に状況を伝えやすくなります。
次に、天井や壁の状態を確認します。
天井がたわんでいる場合は、点検口を無理に開けないでください。
フンや汚れた断熱材が落下するだけでなく、天井裏に動物がいる可能性があります。天井材自体が弱っている場合は、落下する危険もあります。
ネズミは、床下や壁の内部から配管の隙間を通って室内へ出ることがあります。
次の場所を重点的に確認してください。
隙間を見つけても、その場ですべて塞ぐのは避けます。
建物内に動物が残っている状態で出口を閉じると、別の部屋へ移動したり、壁や天井を壊して新しい出口を作ったりする可能性があるためです。
ネズミがいる空き家では、電源コード、電気配線、排水ホース、断熱材などがかじられていることがあります。
配線にかじり跡がある場合や、焦げ臭さを感じる場合は、むやみに通電しないでください。害獣駆除だけでなく、電気工事業者による確認が必要です。
ハクビシンやアライグマは、人を見ると逃げることが多いものの、逃げ場を失うと威嚇する場合があります。
戸袋、物置、天井裏の奥へ手を入れたり、出入口を先に塞いだりしないでください。
侵入口の封鎖は再発防止に欠かせませんが、順番を間違えると状況が悪化します。
まず、建物内に動物が残っていないかを確認します。その後、追い出しや必要な捕獲を行い、再侵入する可能性のある隙間を封鎖します。
ネズミ用の捕獲器と、ハクビシン・アライグマなどの野生鳥獣を捕獲する箱わなでは扱いが異なります。
ハクビシンやアライグマの捕獲には、鳥獣保護管理法や自治体の防除制度に基づく確認や手続きが必要です。物件所在地の自治体へ相談せず、自己判断で捕まえないでください。
臭いや煙で一時的に動物が移動しても、侵入口やエサになるものが残っていれば再び戻ってきます。
天井裏に子どもがいる時期や、出口が一つしかない状態で強い刺激を与えると、壁の中や室内側へ移動することもあります。
薬剤を使う前に、動物の種類、侵入口、建物内に残っている可能性を確認することが先です。
専門業者や自治体へ相談するときは、次の情報があると状況を伝えやすくなります。
侵入口と思われる場所が複数ある場合は、写真に番号を付けておくと便利です。
例えば「侵入口候補1・軒天」「侵入口候補2・床下換気口」のように整理すると、現地調査や見積比較がしやすくなります。
ただし、フンが大量にある場所の清掃、高所の侵入口確認、天井裏への立ち入りは、自力で行わない方が安全です。
次のいずれかに当てはまる場合は、害獣駆除の専門業者や自治体への相談を検討してください。
自治体によっては、住居内へ侵入したハクビシンやアライグマについて、箱わなの貸し出しや専門業者による設置事業を行っている場合があります。
制度の有無や利用条件は地域によって異なるため、空き家がある市区町村へ確認してください。
見積金額だけでなく、どこまで調査・施工するのかを確認することが重要です。
空き家では、害獣を追い出すだけでは終わらない場合があります。
屋根、軒天、外壁、電気配線、給排水設備などに被害があれば、別途修繕が必要です。「駆除一式」という見積だけではなく、害獣対策、清掃、侵入口封鎖、建物修繕の費用を分けて確認すると、内容を比較しやすくなります。
空き家の所有者からよく聞かれるのが、「ネズミかハクビシンか分からないので、まだ相談できない」という悩みです。
しかし、相談前に種類を断定する必要はありません。
次の情報があれば、現地調査を進めることができます。
種類を決めつけて市販品を使うよりも、写真と発生場所を整理し、現地で判断してもらう方が、誤った封鎖や捕獲を避けられます。
天井裏を歩くような重量感のある音と尿染みがある場合は、ハクビシンやアライグマなどの中型動物が候補になります。
天井の染み、フンの位置、軒天や戸袋の破損を写真に残してください。天井板がたわんでいる場合は、点検口を開けずに専門業者へ相談します。
小さなフン、段ボールのかじり跡、配線被害がある場合は、ネズミの侵入が疑われます。
キッチン下、洗面台下、床下換気口、エアコン配管周辺を確認し、物音の時間帯も記録します。売却前は、捕獲だけでなく、侵入口封鎖と電気配線の安全確認まで行うことが重要です。
5本指の足跡と建物の破損がある場合は、アライグマやハクビシンが出入りしている可能性があります。
足跡、破損箇所、天井裏の汚れを写真に残し、自治体への捕獲相談が必要か確認してください。動物を追い出した後も軒天を修繕しなければ、再侵入する可能性があります。
A.必ずしも空き家の方が侵入されやすいとは限りません。ただし、人の出入りが少なく、建物の破損やフンを発見しにくいため、侵入後の定着を見逃しやすくなります。
A.音だけで断定するのは難しいです。細かく走る音ならネズミ、大きく歩くような音ならハクビシンやアライグマが候補になります。フン、足跡、尿染み、建物の破損もあわせて確認します。
A.建物内に動物が残っている可能性がある場合は、すぐに完全封鎖しないでください。追い出しや必要な捕獲を行い、内部に残っていないことを確認してから塞ぎます。
A.自己判断での捕獲は避けてください。ハクビシンやアライグマの捕獲には、鳥獣保護管理法や自治体の防除制度に基づく確認や手続きが必要です。物件所在地の自治体または専門業者へ相談してください。
A.建物の状態や周辺環境によって異なりますが、長期間まったく確認しない状態は避ける必要があります。定期点検に加え、台風、大雨、強風、地震の後や、庭木が伸びやすい時期に臨時確認を行うと異常を見つけやすくなります。
A.少量で安全に作業できる場所であれば、マスクと手袋を着用し、粉じんを舞い上げないように清掃します。ただし、大量のフン、強い臭い、天井裏や床下の汚染がある場合は、自力での作業を避けた方が安全です。
A.必要です。フン尿、臭い、天井の染み、配線被害、屋根の破損が残っていると、売却時の建物調査や購入希望者への説明に影響する可能性があります。調査内容と修繕履歴を残しておくと、状況を説明しやすくなります。
空き家は、人がいないだけで害獣が発生するわけではありません。
問題になりやすいのは、屋根、軒天、戸袋、基礎、配管まわりの破損や、フン、足跡、尿染みといった異変を見つけるまでに時間がかかることです。
初期確認では、まず建物の外周を一周し、その後に室内の床面、天井や押入れ、水回り、電気配線を順番に見ていきます。痕跡や破損は、清掃や修繕を行う前に写真で記録してください。
小さなフンやかじり跡があればネズミ、天井の尿染みや大きな足音があればハクビシンやアライグマなどの中型動物が候補になります。ただし、痕跡だけで種類を決めつける必要はありません。
動物が残っている状態で侵入口を塞いだり、ハクビシンやアライグマを自己判断で捕獲したりすると、状況が悪化する場合があります。
天井のたわみ、大量のフン、強い獣臭、屋根の破損、配線被害があるときは、自治体や害獣駆除の専門業者へ相談し、必要に応じて電気工事業者や建物修繕業者にも確認してもらいましょう。
空き家の害獣対策では、動物を追い出すことだけでなく、侵入口の封鎖、フン尿の清掃、傷んだ建物や設備の修繕まで行うことが再発防止につながります。
空き家の建物管理や設備点検については国土交通省、ネズミの生態や住環境対策については横浜市、ハクビシン・アライグマの家屋侵入や捕獲、侵入防止については環境省、神奈川県、各自治体の公開情報を参考にしています。