COLUMNコラム

ネズミ・ゴキブリ・ハトに要注意!放置で起こる感染症・アレルギーを専門家が解説

2025.12.01
ネズミ・ゴキブリ・ハトに要注意!放置で起こる感染症・アレルギーを専門家が解説

はじめに:知らないと危険!害獣・害虫による健康被害とは?

住宅に侵入する害獣・害虫に対して、多くの方がまず感じるのは「不快」「迷惑」という感情です。
しかし、実際にはそれだけでは済まない深刻な問題が潜んでいます。
ネズミ、コウモリ、ハト、ゴキブリ、ダニなどの害獣・害虫は、建物の破損や悪臭を引き起こすだけでなく、
私たちの健康に直接的な影響を及ぼすさまざまな病原体・ウイルス・細菌を運び込む存在でもあります。
特に、近年では都市部でも被害が増加しており、家庭内での健康リスクは決して他人事ではなくなっています。

まず理解しておくべき点は、「害獣・害虫による健康被害は目に見えない形で進行する」ということです。
たとえばネズミはレプトスピラ症やサルモネラ症など複数の感染症の媒介として知られ、糞尿によってキッチンや食品を汚染することがあります。
また、コウモリはウイルスの保有率が高い動物として世界的に注目されており、天井裏に住み着くことでダニを大量に発生させる危険性があります。
さらに、ハトの糞にはクリプトコッカスなどの真菌が含まれることがあり、乾燥した糞が粉塵化して空気中に舞うと呼吸器系のトラブルを引き起こすこともあります。

害虫の代表格であるゴキブリやハエも侮れません。
彼らは排水口・ゴミ・汚水などを経由して家に侵入し、細菌を足に付着させたままキッチンや食器に触れることで食中毒のリスクを高めます。
また、チャタテムシやツメダニなどの微小害虫は、アレルギー症状や喘息の発作を引き起こす原因になることも多いです。
とくに小さなお子様や高齢者、免疫力が低下している方がいる家庭では、害獣・害虫の侵入は命に関わるリスクにもなり得ます。

さらに恐ろしいのは、これらの健康被害が「目に見える前に進行する」点です。
たとえば天井裏でコウモリが住み着いていても、普段の生活では気づきにくく、糞尿が蓄積されてカビが増殖したり、ダニが室内に広がったりして初めて異変に気づくケースもあります。
また、ネズミは夜間に活動するため、住み着いていても気づかず、気づいた頃には配線がかじられていたり、糞が食品棚に散乱していたりすることも珍しくありません。

このように、害獣・害虫による健康リスクは非常に多岐にわたりますが、大きく分けると以下の3つに分類することができます。

➀ 感染症リスク(ウイルス・細菌・寄生虫の媒介)

■ 主な害獣・害虫と感染症一覧

害獣・害虫 主な健康リスク・感染症 危険の理由
ネズミ レプトスピラ症 / ハンタウイルス 糞尿・体毛・かじり跡から病原体が拡散
コウモリ 真菌リスク / ウイルス持ち込み 天井裏に住みつき、糞尿とダニの拡散
ハト(害鳥) クリプトコッカス症 / オウム病 乾燥した糞が粉塵化し、吸い込みリスク
ゴキブリ 大腸菌・サルモネラ菌 ゴミ・排水口を経由し、食品・食器を汚染

■ 補足
どの害獣・害虫も、糞尿・体毛・唾液・持ち込んだ汚染物質を介して病原体を広げる可能性があります。

➁ダニ・ノミの二次発生による健康被害

■ なぜ二次被害が起きるのか?

害獣の体に寄生しているダニ・ノミが屋内に落下して繁殖します。
目視できないほど小さく、気づいた時には大量発生しているケースもあります。

■ 特に注意が必要な微小害虫

種類 特徴 主な健康被害
イエダニ ネズミに寄生、屋内で急増 刺咬被害・かゆみ・アレルギー
ツメダニ コウモリ・鳥類に寄生 皮膚炎・湿疹・強いかゆみ
チャタテムシ 湿気とホコリを好む アレルギー・喘息悪化

■ 二次被害のポイント
刺されるまで存在に気づけず、アレルギー・喘息の悪化につながる非常に厄介な被害です。

➂アレルギー・呼吸器系トラブルの誘発

■ アレルギーを引き起こす汚染物質

害獣・害虫が落とす以下の物質が、空気中で舞ったり、床・壁に付着してアレルゲンになります。


体毛
剥がれ落ちた皮膚片
ダニの死骸
カビ
乾燥したハト糞の粉塵

■ 影響を受けやすい人

小児
高齢者
免疫力が弱い人

■ よくある症状

家に入ると咳が出る
くしゃみが止まらない
原因不明の湿疹
鼻づまり・呼吸しづらい

これらは「害獣が原因のアレルギー」である可能性が高く、住環境に異変が出て初めて害獣被害に気づくケースが非常に多いです。

害獣・害虫が運ぶ病原体一覧

家庭内に侵入する害獣・害虫は、それぞれ異なる病原体や衛生リスクを持っています。
しかし共通して言えるのは、「糞尿・体毛・唾液・寄生虫・外部から持ち込む汚染物質」によって、家の中に病原体を広げてしまう危険性があるという点です。

下記では、代表的な害獣・害虫が運ぶ病原体を、家庭で起こりやすい被害とともに整理します。

ネズミが運ぶ主な病原体

ネズミは都市型住宅で最も侵入が多い害獣で、食品汚染・物損に加え「感染症の媒介源」としても非常に危険です。

レプトスピラ症

汚染された水や床を通じて感染。
発熱・筋肉痛・黄疸などを引き起こし、重症化すると腎障害のリスクもあります。

ハンタウイルス

主にネズミの糞尿を吸い込むことで感染する病気。
呼吸器症状や腎症候性出血熱が代表的で、国内でも注意喚起されています。

サルモネラ症

ネズミの糞尿から食品に移る事例が多く、食中毒の原因になります。

寄生虫(条虫など)

ネズミに寄生するダニ・ノミが人にまで被害を与え、皮膚炎・かゆみ・感染症の媒介源になります。

コウモリが運ぶ主な病原体

屋根裏や換気口に侵入しやすいコウモリは、直接触らなくても「糞の蓄積」による健康被害が特に深刻です。

ヒストプラズマ症(真菌感染)

コウモリの糞に繁殖する真菌が原因。
吸い込むことで肺炎に似た症状を引き起こします。

ウイルスの持ち込みリスク

コウモリは多様なウイルスを保有する動物として知られ、住宅に侵入することでウイルス環境が持ち込まれる可能性が指摘されています(直接感染例はまれですが、リスク要因として重要)。

ハトが運ぶ主な病原体

ハトは「平和の象徴」のイメージとは裏腹に、住宅被害の中では感染症のリスクが最も高い害鳥です。

クリプトコッカス症(真菌感染)

ハト糞から発生する真菌を吸い込むことで発症。
肺炎・髄膜炎など重症化リスクがあります。

オウム病(クラミジア感染症)

糞や羽毛の粉塵を吸い込むことで感染し、発熱・肺炎などを引き起こす人獣共通感染症です。

アレルギー粉塵

乾燥したハト糞は粉状になり空気中に飛散し、喘息やアレルギー症状を悪化させます。

ゴキブリが運ぶ主な病原体

ゴキブリは家の中を自由に動き回るため「病原体の運搬能力」が極めて高い害虫です。

大腸菌

食品や調理器具に移ることで食中毒を引き起こすことがあります。

サルモネラ菌

ゴキブリの体表・糞から検出されることが多く、乳幼児や高齢者は重症化リスクが高い菌です。

ブドウ球菌・赤痢菌など

多数の細菌を運搬することが知られており、衛生環境を著しく悪化させます。

3. ダニ・ノミの二次発生が引き起こす健康被害

害獣が家に入り込むと、体に付着していたダニ・ノミが落ちて室内で繁殖する二次被害が発生します。
これが最も気づきにくく、かつ深刻なトラブルです。

種類 特徴 被害
イエダニ ネズミに寄生、人を刺すと強い痒み 刺咬被害・発疹・睡眠障害
ツメダニ 他のダニや昆虫を捕食するタイプ 誤って人を刺すことで皮膚炎
チャタテムシ 湿気を好みカビを食べる アレルギー・喘息悪化

■ 二次被害が特に危険な理由

〇目視が難しいため、繁殖に気づきにくい
〇刺されるまで存在が分からない
〇ハウスダストアレルギーや喘息を急激に悪化させる
〇布団・家具・壁内に広がり、家庭の掃除では限界がある

害獣駆除を行っても「ダニの駆除と消毒」を同時に行わなければ、
二次被害にお悩みであればその被害は継続する可能性があります。

4.アレルギー・呼吸器系トラブルを誘発する汚染物質

害獣・害虫は、家の中にさまざまなアレルゲンを残していきます。

糞・尿、体毛、剥がれ落ちる皮膚片、ダニの死骸・フン、カビ、ハト糞の粉塵。
これらが空気中に舞い上がり、呼吸器に影響を与えます。

起こりやすい症状

咳が止まらない
鼻水・鼻づまり
原因不明の湿疹
目のかゆみ
喘息の悪化
子どものアトピーが再発する

特に乳幼児・高齢者・アレルギー体質の家族がいる家庭では、健康被害が深刻化しやすい傾向があります。

害獣・害虫別にみる具体的な健康被害

害獣・害虫による健康被害は「どの種類が侵入したか」によって大きく異なります。
実際の駆除現場で多く見られる被害事例をもとに、家庭で起こりやすいリスクを一つずつ解説します。

ネズミによる健康被害

ネズミ被害は、都市部・住宅地問わず最も多い害獣トラブルのひとつです。
ネズミは都市部から住宅街まで広く生息し、人家への侵入頻度が非常に高い害獣です。
ネズミの体表や糞尿、さらには寄生しているダニ類を介して、多くの病原体が家庭内に持ち込まれるリスクがあります。

まず代表的なものが、レプトスピラ症・ハンタウイルス・サルモネラ症といった感染症です。
これらはネズミの尿や糞、唾液などを通じて人へ感染する可能性があり、特に台所や食品庫に侵入した場合、食品汚染を介した発症が問題となります。
さらに、ネズミに寄生するイエダニが室内に落下すると、刺咬被害や強い痒み、湿疹を引き起こします。

典型的な家庭での事例としては、天井裏のカサカサ音を調査した際に大量の糞が蓄積していたり、室内で赤い斑点が増え、原因がイエダニだった、というケースが挙げられます。
また、ネズミ糞の粉塵を吸い込むことで子どもが咳き込みやすくなる事例も多く、見えないところで健康被害が進行する点が大きな特徴です。
ネズミは同じ場所を通る習性があるため、糞尿が一箇所に集中し、空気汚染が起きやすい点もリスクを高めています。

■ 主な健康リスク

感染症(レプトスピラ症・ハンタウイルス・サルモネラ症)
イエダニによる刺咬被害
食品汚染による腹痛・嘔吐
天井裏の糞尿によるアレルギー悪化

■ 実際の家庭で起こりやすい症状

天井裏からカサカサ音 → 調査すると大量の糞が蓄積
皮膚に赤い斑点が増えた → イエダニが寝室に落下
子どもが頻繁に咳き込む → ネズミ糞の粉塵吸入が原因
食品袋に噛み跡 → サルモネラ菌汚染のリスク

ネズミは「通路」が固定されているため糞尿が一箇所に集中し、空気汚染が広がりやすい点も特徴です。

コウモリによる健康被害

コウモリは鳥獣保護法で保護されているため、勝手に駆除できません。
その結果、家庭では気づかないうちに屋根裏へ侵入し、長期間にわたり糞尿を蓄積させてしまうことがよくあります。

最も深刻なのが、糞に含まれる真菌(カビ)によるヒストプラズマ症などの感染リスクです。
乾燥した糞が粉状になって舞い上がると、吸い込むだけで肺炎の原因になり、免疫力が弱い人は特に危険です。
また、コウモリの体についたダニやノミが家の中に落下し、刺咬被害やアレルギー反応を引き起こす例も後を絶ちません。

実際の現場では、換気口のわずかな隙間から侵入し、数ヶ月で糞が山積みになっているケースが多く見られます。
また、糞が染み込んだ断熱材にカビが繁殖し、その臭いが家全体に広がることもあります。
特に小児が寝室でダニに刺され、湿疹が悪化したことをきっかけに被害が発覚することもあります。

コウモリ被害は放置すると真菌の飛散が広がるため、早期の封鎖工事と衛生処理が不可欠です。

■ 主な健康リスク

ヒストプラズマ症(真菌感染)
強い悪臭・アンモニア臭
ダニやノミの大量発生
天井裏のカビ増殖によるアレルギー悪化

■ 現場で多い事例

換気口の隙間から侵入 → 数ヶ月で糞が山積み
糞に触れた断熱材にカビが繁殖 → 家中に臭いが漂う
ダニが落ちて寝室で刺される → 小児の湿疹が悪化

特に、コウモリ糞から発生する真菌は吸い込むだけで肺炎を起こす可能性があり、放置は極めて危険です。

ハト(害鳥)による健康被害

ハトはベランダや屋根、太陽光パネルの隙間など、人が気づきにくい場所に巣を作りやすい鳥です。
問題となるのは、放置された大量の糞が乾燥し、病原菌を含んだ粉塵となって空気中に舞うことです。

ハトの糞には、クリプトコッカス症の原因菌である真菌や、オウム病(クラミジア感染)の病原体が含まれることがあり、吸引すると肺炎や高熱を引き起こす可能性があります。
また、巣の中にはシラミやダニが繁殖しやすく、その二次被害で室内に侵入し刺咬被害を起こすことも少なくありません。

典型例として、ベランダの手すりやエアコン室外機に糞が蓄積し、乾燥して粉塵化するケースが挙げられます。
洗濯物に粉塵が付着し、取り込んだ衣類を介して家族が咳き込むこともあります。
また、太陽光パネルの下に巣を作られた場合、清掃作業中の粉塵吸入により業者自身が健康被害を受けるケースもあります。

ハト糞に含まれる菌は風雨にさらされても数年残る場合があり、専門的な消毒が不可欠です。

■ 主な健康リスク

クリプトコッカス症(真菌)
オウム病(クラミジア感染)
アレルギー粉塵の吸引
シラミ・ダニの二次発生

■ 起こりやすい家庭トラブル

ベランダに糞が蓄積 → 乾燥して粉塵化
洗濯物に粉塵が付着 → 家族が咳き込みやすくなる
ハトの巣にダニが大量発生 → 室内に侵入
太陽光パネル下の巣 → 業者が清掃時に粉塵吸入で健康被害

ハト糞の菌は数年残る場合もあり、専門的な消毒作業が必要です。

ゴキブリによる健康被害

ゴキブリは「病原体の運び屋」と呼ばれるほど、細菌類を媒介する能力が非常に高い害虫です。
下水や排水口、トイレといった不衛生な場所を移動した後、キッチンや食品棚に侵入するため、家庭内の衛生環境を急速に悪化させます。

代表的なリスクとして、大腸菌やサルモネラ菌による食中毒があります。
ゴキブリが調理器具や食品包装に触れるだけで細菌が付着し、家族の腹痛や嘔吐を引き起こす可能性があります。
また、ゴキブリのフンや死骸、体表のタンパク質はアレルゲンとして知られ、喘息やアレルギー症状を悪化させる要因になります。
さらに、ゴキブリはノロウイルスを運ぶ可能性も指摘されており、免疫力の低い幼児や高齢者は特に注意が必要です。

実際のトラブルとしては、油汚れを餌にして繁殖してしまうキッチン環境や、食品袋にかじった痕跡が残り、細菌汚染が疑われるケースが多く見られます。
深夜に大量発生しやすいのもゴキブリ被害の特徴で、生活の質を著しく低下させます。

■ 主な健康リスク

大腸菌・サルモネラ菌による食中毒
喘息・アレルギー悪化(アレルゲン物質)
ノロウイルスの拡散リスク
不衛生環境の定着

■ よくある症状・トラブル

調理器具に触れて細菌が付着 → 家族が腹痛
キッチンの油汚れを食べて繁殖 → 深夜に大量発生
ゴキブリのフンがアレルゲンとなり喘息が悪化
食品包装にかじり痕 → 細菌汚染の疑い

幼児や高齢者は特に重症化しやすいため注意が必要です。

ダニ・ノミによる二次被害(最も気づきにくい)

害獣が室内に侵入した場合、同時に発生しやすいのがダニ・ノミの二次被害です。
特にイエダニやツメダニは刺咬被害が強く、家庭で最もストレスの大きい被害のひとつです。

刺咬されると強烈なかゆみや腫れが生じ、特に夜間に刺されることで睡眠の質まで低下します。
体に赤い斑点が数十カ所できることもあり、症状が長期にわたって続く場合もあります。
また、ダニによるアレルギー反応が悪化し、呼吸器症状を訴える事例も少なくありません。

なぜ広がるのかというと、天井裏や壁内にいた害獣の体からダニが落下し、それが寝室やリビングに侵入して繁殖するためです。
ベッド、ソファ、カーペットはダニが定着しやすく、掃除機や市販スプレーでは完全な駆除が困難です。
特にネズミ駆除後1〜2ヶ月してからダニ被害が発生することも多く、専門的な薬剤散布が必須です。

■ 主な被害症状

強烈なかゆみ・腫れ(刺咬症)
夜間に刺され眠れない
赤い斑点が体の数十か所にできる
アレルギー症状が数ヶ月続く

■ 被害が広がる理由

天井裏の害獣 → ダニ落下 → 寝室へ移動
ベッド・ソファ・カーペットで繁殖
掃除機や市販スプレーでは限界がある

実際に、ネズミ駆除後1〜2ヶ月で刺され始めるケースも多く、専門的な薬剤処理が必須です。

カビ・粉塵による呼吸器系トラブル

害獣被害が進行すると、天井裏・壁内にしみ込んだ糞尿を餌にしてカビが繁殖します。
さらに乾燥した糞が粉塵となって舞い上がり、空気中にアレルゲンが大量に漂う状態が続きます。

実際の被害では、家の中に入ると咳が止まらなくなる例や、掃除をしても臭いが取れないケースが多く見られます。
また、原因不明の鼻炎が慢性化したり、子どものアトピーが悪化することもあります。
これらの微粒子は空気中に舞いやすいため、換気だけでは改善できず、専門的な消毒と資材交換が必要となることがあります。

■ アレルギー原因物質

害獣の糞尿がしみ込んだ断熱材のカビ
乾燥した糞の粉塵
ダニの死骸・フン
羽毛・体毛の微粒子

■ 被害の例

家に入ると咳が止まらない
掃除をしても臭いが残る
原因不明の鼻炎が継続
子どものアトピーが悪化

空気中に舞いやすいため、換気だけでは改善しないのが厄介なポイントです。

駆除業者が行う衛生・消毒作業

害獣・害虫の駆除は「侵入を止める」「個体を駆除する」だけでは万全とはいえません。
とくにネズミ・ハト・コウモリなどの糞尿が長期間蓄積している現場では、細菌・真菌・ウイルス・寄生虫などの病原性リスクが残り続けるため、専門的な衛生・消毒処理が不可欠です。

一般家庭では対処が難しい工程を、プロがどのように行っているのかを解説します。

糞尿・巣材の撤去と密閉パッキング

害獣が残した糞尿や巣材は、病原菌・アレルゲン物質が高濃度に含まれる危険物です。
作業員は防護服・N95マスク・耐薬品手袋を着用し、以下の流れで安全に除去します。

糞・巣材・死骸などをヘパフィルター付きの業務用集塵機で吸引
カビ・粉塵が舞わないよう湿潤化処理
感染性廃棄物として密閉パック
法令に基づく方法で適切に廃棄

とくにネズミ・ハト・コウモリの糞は乾燥粉塵化しやすく、菌が数年間生存する例もあるため、家庭で触れるのは非常に危険です。

高レベル消毒(細菌・ウイルス・真菌の同時対策)

巣材や糞尿を撤去したあとには、広範囲の消毒処理を行います。
業者が使用する薬剤は家庭用のものとは異なり、以下のような専門性の高いものです。

<使用される薬剤の例>
逆性石けん系消毒剤(細菌の細胞膜を破壊)
第四級アンモニウム塩(ウイルス・カビにも効果)
アルコール系薬剤(耐性の低いウイルスに有効)
燻蒸剤・ULVミスト剤(広範囲の真菌・ダニに浸透)

床下・天井裏・壁内といった空間にミスト状で薬剤を拡散し、「見えない菌・ダニ」を含めて徹底的に除菌します。

③ ダニ・ノミの残留対策(二次被害の防止)

害獣がいた場所には、ダニ・ノミが高確率で残存しています。
とくにイエダニはネズミ駆除後の代表的な二次被害で、数週間〜数ヶ月遅れて刺されることがあります。

そのため、業者は以下の処理を徹底します。

ダニ専用の残効性薬剤を散布
寝室・リビングの床や布製家具に重点処理
天井裏への粉剤処理
一定期間“効力が持続する”薬剤で再侵入を防止

家庭用ダニスプレーとは効果領域も持続期間も全く異なり、プロの処理では1〜3ヶ月以上効果が続くケースもあります。

防臭・消臭処理(アンモニア臭・腐敗臭の除去)

害獣の糞尿や体液によって生じる強いアンモニア臭・腐敗臭は、通常の掃除や市販の消臭剤ではほとんど取れません。

そのため、業者は以下の手法を使います。

オゾン脱臭機による高濃度オゾン処理
活性酵素系の分解消臭剤
臭気成分を化学的に中和する薬剤
換気ダクトの内部清掃

特にオゾン処理は、臭いだけでなくウイルスにも作用するため、感染対策としても非常に有効です。

汚染された断熱材・建材の交換

天井裏に糞尿がしみ込んでしまった場合、断熱材・石膏ボード・木材などが汚染されます。
カビや真菌が繁殖すると、消毒だけでは完全に除去できないため、以下の作業を提案する場合があります。

断熱材の撤去・新規敷設
汚染されたボード材の交換
木材の表面削り+防カビ処理

とくにコウモリやハトの糞害が放置されていた現場では、断熱材が黒く変色し、アレルゲンが定着していることも珍しくありません。

侵入口の封鎖・再発防止工事

衛生処理とセットで重要なのが「侵入口の完全封鎖」です。
侵入口が残っていると、せっかく消毒しても再侵入してしまい、健康リスクが再び発生します。

<封鎖作業の例>
金網・防獣板による通気口の封鎖
屋根瓦の隙間の補修
ソーラーパネル下の防鳥ネット設置
基礎周りの隙間埋め
排水管周りのラットブロッカー設置

現場の構造に合わせて、プロが「再侵入ゼロ」を目標に施工します。

駆除後の“衛生処理こそ”が健康被害を防ぐ鍵

害獣・害虫による健康リスクは、➀病原菌 ➁寄生虫 ➂アレルギー物質 ➃悪臭の4つが複合的に絡み合っています。

駆除だけでなく、以下をセットで行うことで、はじめて家の安全が取り戻せます。

〇糞尿撤去
〇高レベル消毒
〇ダニ対策
〇防臭処理
〇汚染部材の交換
〇侵入口封鎖

特に、子ども・高齢者・ペットがいる家庭では、健康被害を未然に防ぐための専門的ケアが必須です。

家庭でできる予防・衛生管理

害獣・害虫の駆除や専門的な消毒作業が完了した後でも、家庭での衛生管理が不十分だと再発のリスクが高まるだけでなく、
残留していたアレルゲンや粉塵による健康被害が続くことがあります。
ここでは、一般家庭でも実践しやすく、効果的な衛生管理の方法を解説します。

① 徹底した清掃(ホコリ・粉塵・アレルゲン除去)

駆除後数週間は、アレルゲン物質(糞の粉塵、ダニ死骸、体毛など)が室内に残っている場合があります。
これらは吸い込むことで、喘息・鼻炎・皮膚炎が悪化することもあります。

<家庭で行うべき清掃ポイント>

高性能フィルター付き掃除機(HEPAフィルター)を使用
→ 粉塵・ダニを吸着でき、通常の掃除機より衛生効果が高い。

床・棚・窓枠の水拭きを徹底
→ 乾拭きは粉塵を舞わせるため逆効果。

カーペットはスチームクリーナーで除菌
→ ダニ・微生物への熱処理が効果的。

24〜48時間以内に洗える布類は全て洗濯
→ 寝具・カーテン・ラグなどにアレルゲンが付着している可能性あり。

定期的な清掃は「再発防止」だけでなく、家族の呼吸器症状の改善にも効果的です。

キッチン・食品管理の強化(害虫・ネズミの再発予防)

食品は害虫・ネズミの最大の「誘因物質」です。
再侵入を防ぐためには、以下の点を守ることが重要です。

<家庭でできる食品管理>

食品は必ず密閉容器へ移し替える
→ 袋のままでは簡単に齧られる。

シンク周りの生ゴミを放置しない
→ 1晩放置しただけでゴキブリが寄り付きやすい。

油汚れ・食品カスを残さない
→ 特に電子レンジ・コンロ下はゴキブリの温床になりやすい。

棚や冷蔵庫下の定期清掃
→ 見えない場所ほど害虫が集まりやすい。

業者の駆除効果を維持するためにも、日常的なキッチン衛生は不可欠です。

③ 換気と湿度管理(カビ・ダニの発生抑制)

害獣がいた場所はカビや湿気が溜まりやすく、放置すれば呼吸器症状・皮膚炎の悪化に直結することがあります。

<家庭で行う対策>

定期的な換気(1日2〜3回、5〜10分)
除湿機またはエアコンの除湿機能を使用
湿気の溜まりやすい収納や押入れを開放する
風の通り道を作り、空気を滞留させない

特に、駆除後1〜2ヶ月はカビ胞子が舞いやすい時期のため、意識的に湿度を下げることが重要です。

侵入口の点検(再侵入の予防)

業者が封鎖工事を行っても、数年経てば建物の劣化で新たな隙間が生まれます。
家庭でできる点検を定期的に行うことで、再侵入を防げます。

<チェックすべきポイント>

換気口の金網が外れていないか
屋根や雨樋の歪み
床下の通気口
配管の隙間
玄関ドア下の微細な隙間
ベランダ周りの配線穴

特にネズミは2cmの隙間があれば侵入可能です。
「少しでも空いている」と感じたら、早めに対処しましょう。

ベランダ・屋根周りの定期メンテナンス(ハト・コウモリ対策)

ハトやコウモリは、一度住み着くと長期間巣を作る傾向があります。
巣の残骸・糞は、病原性真菌や寄生虫の温床になるため、以下の対策が重要です。

<家庭でできる予防>

ベランダに物を放置しない(巣材になりやすい)
手すり・床の糞はすぐに清掃(乾燥すると粉塵化)
日よけ・布団干しグッズを頻繁に移動して固定場所を作らない
夜間にベランダに明かりを漏らさない(コウモリが寄りやすい)

特にハトの糞粉塵は数年残留し、吸い込むことで感染症やアレルギーを引き起こします。

空気清浄機・フィルター管理(アレルゲン対策)

駆除後の家では、ダニ死骸・粉塵・カビ胞子が空気中に漂うケースが多くあります。

<おすすめの管理方法>

HEPAフィルター搭載の空気清浄機を使用
フィルターは月1回の清掃・定期交換
寝室・リビングなど長時間滞在する部屋に設置

特にアレルギー体質の家族がいる場合は大きな効果があります。

ペットの衛生管理(ノミ・ダニ対策)

外出するペットは、害虫の侵入口にもなることがあります。

定期的なノミ・ダニ予防薬
足洗い・ブラッシング
ペットベッドの洗浄
フンの放置をしない

ペット経由でダニが家族の寝室に運ばれるケースもあるため注意が必要です。

家庭の衛生管理で「再発ゼロ」の環境を守る

害獣・害虫の駆除後に最も大切なのは、“家族の健康を守りながら再発を防ぐこと”です。

家庭でできる対策は大きく次の3つに分類できます。

衛生管理(清掃・除菌・空気管理)
再発防止(食品管理・侵入口チェック)
生活環境改善(湿度・換気・習慣見直し)

業者の専門的な処理と家庭での衛生管理を組み合わせることで、健康被害の不安を根本から取り除き、清潔で安全な住環境を長期的に維持できます。

よくある質問

Q1. 害獣・害虫を放置すると、どんな健康被害が出やすいですか?

A. ネズミ・ゴキブリ・ハト・コウモリなどを放置すると、レプトスピラ症やサルモネラ症などの感染症、
喘息やアレルギーの悪化、原因不明の湿疹・咳・鼻炎などが起こることがあります。
特に乳幼児や高齢者、アレルギー体質の方がいるご家庭では、早めの対策が重要です。

Q2. 自分で掃除・消毒すれば十分ではありませんか?

A. 目に見える汚れを拭き取ることはできますが、糞尿が染み込んだ断熱材のカビや、
粉塵化した病原体・ダニの死骸などは家庭用洗剤や市販スプレーでは完全に除去できません。
場合によっては粉塵を舞い上げてしまい、かえってリスクを高めることもあるため、
被害が広い場合は専門業者による消毒をおすすめします。

Q3. 害獣・害虫の駆除後、どのくらい家庭での掃除・対策を続けるべきですか?

A. 駆除直後の1〜2ヶ月は、ダニの二次発生やカビ胞子の飛散が起こりやすい期間です。
この間はHEPAフィルター付き掃除機での清掃や水拭き、換気・除湿、寝具やカーテンの洗濯を定期的に行うことで、
健康被害のリスクを大きく下げることができます。

Q4. 害獣被害かどうか判断がつかない場合は、どうすればいいですか?

A. 「天井裏から音がする」「ベランダに糞が増えた」「家に入ると咳が出る」などの症状が続く場合、
害獣・害虫が原因の可能性があります。
自己判断が難しい場合は、現地調査だけでも依頼できる業者に相談し、状況をチェックしてもらうと安心です。

「もしかしてうちも当てはまるかも…」と感じた方は、一度プロの目でお住まいの状態を確認してみませんか?
当社では、ネズミ・ゴキブリ・ハト・コウモリなどの害獣・害虫被害について、現地調査と対策プランのご提案を無料で行っています。
少しでも不安があれば、お気軽にお問い合わせください。